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医薬品アクセス

当社のアプローチ

新興国・開発途上国におけるエーザイの事業展開-医薬品アクセスの向上のために-

2015.12.25掲載

 製薬産業は、継続的な新薬開発、安定的な製品供給、適正な医薬品情報の提供によって患者様のベネフィット向上に貢献してきました。新薬の承認数は、近年増加傾向にありますが、未だ治療法が確立されておらず治療薬が開発されていない疾患も多く、今後も新薬開発の重要性は変わることはありません。その一方でジェネリック医薬品は、新興国だけではなく、先進国においても経済的負担が少ないというその役割が見直されています。

 また新興国・開発途上国においては、人口増加や経済発展により、中間所得層が拡大し、医薬品の需要が急速に増加しています。しかし、多くの国々では社会インフラや健康保険制度等を含む医療供給体制の整備が進んでいないこと、疾患・治療の認知度が低いこと、経済的理由などにより、十分な医薬品アクセスが確保されていない状況も見られます。

 そのような状況の中で、エーザイは、エーザイ・ジャパン(日本)、アジア、中国、米州、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)の5リージョン体制で、地域ごとの成長戦略を遂行しています。医薬品アクセスの確保が特に必要と考えられるアジアリージョンにおいては、韓国からインドまでの9つの現地法人による販売網を使って製品を供給することで、患者様の医薬品へのアクセス拡大に努めています。

 エーザイは、アジアリージョンを中心に、新興国・開発途上国の医薬品アクセスの向上に貢献すべく、これまでの画期的な新薬開発・販売を通じた患者様貢献に加えて1.アフォーダブル・プライス、2.疾患ソリューションの提供、3.官民パートナーシップ、4.ローカル・パートナーシップをコア戦略として掲げ、複合的に医薬品アクセスの課題解決に取り組んでいます。

1. 各国や疾病の状況に応じた柔軟な価格設定:アフォーダブル・プライス

 新興国・開発途上国の多くでは、医療保険制度の加入者数や保険で償還される医薬品の種類が限定的なため、国民の医療費の自己負担比率が高くなっています。新興国・発展途上国では、国民の平均所得は先進国と比較して低く、多くの人々が十分な医薬品が入手できないという困難な現状にあります。(下図参照)

新興国・開発途上国の保険制度の背景(2015年 日本製薬工業協会調査より)

  保険制度 薬剤費 自己負担 一人当たりGDP
(2014年)(US$)
インド 公的医療保険制度は存在するが、公務員と民間企業職員の一部のみがカバーされ、国民全体の数パーセント程度に限定 外来処方のほとんどは償還対象外
(実質100%自己負担)
1,570
フィリピン 公的保険に国民の80%が加入するが、適用対象は基礎的診療に限定 国家薬剤償還リスト収載の薬剤のみ公的病院では自己負担なし、外来患者の薬剤費は償還対象外 3,470
インドネシア 国民皆保険は2014年スタート
現在約半数にあたる1.2億人への保健適用を計画。但し、適用範囲は基礎的診療に限定
基礎的償還制度があるが、一般的に償還対象となる薬剤は必須医薬品リストに掲載されているものに限定 3,630

(参考:日本の一人当たりGDP: US$ 42,000)

 医薬品の価格設定も医薬品アクセスの改善に貢献できるという考えのもとで、エーザイは各国の社会・経済・医療環境に合わせた「アフォーダブル・プライス」によって、広範囲で、継続的な医薬品提供の実現に努めています。

 例えばインドでは、2005年よりアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」(インドでのブランド名「Aricep」、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」(インドでのブランド名「Parit」)を、インドの社会・経済・医療環境に合わせた価格で提供しています。また、フィリピンにおいても、2010年2月に上市した慢性B型肝炎治療薬「Revovir」(一般名「クレブジン」)も同様のポリシーに基づいたアフォーダブル・プライスを適用しました。

 その他の市場・製品でもアフォーダブル・プライスを積極的に検討しています。2013年10月に、インドで発売した新規抗がん剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリン)では、新たな試みを模索しました。インドで、ハラヴェンを必要とされる患者様がその所得水準にかかわらず治療を受けられるように、患者様の所得水準に応じて全額負担から無償まで複数の負担価格を設定する「ティアードプライシング」を導入することによって、「ハラヴェン」へのアクセスを改善しています。また、香港、タイ、フィリピンにおいても、それぞれの国に応じたスキームを展開しています。今後も、エーザイが創出した革新的新薬を世界のより多くの患者様にお届けできるよう、各国の医療制度や経済状況に合わせた持続可能なビジネスモデルを追求していきます。
 また、どのような価格を設定してもエーザイが提供する医薬品にアクセスできない患者様には、それぞれの国でPAP(Patient Assistance Program)などを設けることによって、さらなる医薬品へのアクセス拡大を試みています。

 さらにエーザイは「顧みられない熱帯病」の一つである、リンパ系フィラリア症の制圧に向けて、世界保健機関(WHO)と連携し、合計22億錠の治療薬DEC(ジエチルカルバマジン)錠をプライスゼロで提供しています。DEC錠の製造は、先進的な製造設備を持ち、先進各国のGMP(Good Manufacturing Practice)承認を取得済みのインド・バイザッグ工場で行われています。2015年11月時点で21カ国の感染リスクのある人々に、5億3800万錠が提供されました。プライスゼロによるDEC錠の提供は、グローバル生産・供給体制の最適化によって費用の効率化を実現し、エーザイの将来へ繋がるビジネスへの投資としての意義があると考えています。

高い品質のエーザイ製品を、世界中のより多くの患者様へ

DEC錠の蔓延国への供給状況

2. 疾患ソリューションとブランドジェネリック医薬品の活用

 エーザイは、アルツハイマー型認知症やてんかんなどの中枢神経疾患を中心に、自社開発や他社からの導入を通じて新薬を提供し、それらの疾患領域についての知識を蓄積してきました。患者様視点から見た疾患ソリューションとして幅広い製品の取り揃えを進めており、その一環としてブランドジェネリック医薬品の提供も行っています。例えばインドでは、自社開発品に加えその関連疾患のジェネリック医薬品、合剤を取り揃えることにより、医療従事者および患者様により充実した治療の選択肢を提供しています。

3. 疾患・治療の認知度の低さに対する取り組み:官民パートナーシップ(PPP: Public-Private Partnership)

 特に新興国・開発途上国においては、疾患あるいはその治療法の認知が十分ではないため、診断・治療の機会を得られない潜在的な患者様が数多くいます。このような課題の解決には、エーザイ単独の取り組みだけではなく、政府関連の公的機関、民間企業、非営利団体など、各団体の知識やリソースを補完的に活用した取り組みが有効です。

4. ローカル・パートナーシップの推進

 事業環境、医療環境が国ごとに大きく異なる新興国において、いち早く、より多くの患者様のニーズに合致した医薬品をお届けするために、エーザイではローカル・パートナーとの連携を積極的に推進しています。各国で異なる医療ニーズをよく把握しており、また独特の商慣習についても経験豊富なローカル・パートナーと提携することにより、患者様の医薬品アクセスの改善を目指します。またエーザイは、ローカル・パートナーと自社品の製品情報を共有するのみならず、生産技術移譲を通じた当該国における生産能力向上にも取り組んでいます。

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