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医薬品アクセス

当社のアプローチ

知的財産権と医薬品アクセス-エーザイの見解

2016.04.20掲載

 エーザイは、hhc理念の下、患者様に新たな治療方法を提供するため、日々新たな医薬品の研究開発に自ら取り組んでいます。この目的を達成するため、自社研究にとどまらず、オープン・イノベーションによって、自社の研究成果を他社との提携により治療薬に結びつける努力を行う他、特許制度を利用し、当該成果を技術として最速に公開することで、医薬品の研究開発に携わる業界全体にも寄与しようと心掛けています。
 新たな医薬品を世に出すには、莫大な時間、労力および費用が必要となります。特許制度は、発明を公にし、かつ、適切に保護することを確保することで、一早く、患者様やそのご家族に医薬品を届けるためのリソース投入を促進させるものです。

1. 特許制度と医薬品アクセスとの関係

 特許制度自体が医薬品アクセスの観点で患者様に不利益をもたらしているとの批判があります。しかしながら、特許制度による技術の早期公開がなければ新たな医薬品の開発は停滞することになります。特許権による発明の適切な保護がなければ、当社のような研究開発型の製薬企業は、医薬品創製のための研究開発活動への多大な資源を投入することができず、結果として、新たな医薬品が開発されず、却って新薬へのアクセスが阻害されることとなります。貧困層の患者様への医薬品アクセスについては、当社が新興国で実施しているアフォーダブルプライシングやティアードプライシング等の方法で、解決すべき問題であると考えています。

2. 常緑化

 研究開発型の製薬企業が、複数の特許により医薬品の寿命を延長していることについては、常緑化(ever-greening)との批判を受けることがしばしばあります。確かに、医薬品の寿命を延長することのみを目的とした特許を取得することには賛同できません。しかしながら、基本特許満了後に存続する特許が、患者様にとってより価値の高い新規な製剤や新規な効能等に係るものなど公共の利益に資するものについては、hhc理念を実現していくものとして、当社は特許権を維持してまいります。

3. 強制実施権

 エーザイは、医薬品を必要とする人々すべてに与えられなければならないことと強く認識しており、これは、当社のhhcミッションであります。医薬品市場が未成熟である国々1)においては、医薬品アクセスを高めることこそが重要であり、特許権を行使しないほうが適切といった状況が存在することを、当社は十分に認識しております。当社は、医薬品アクセスを高めるためにアフォーダブルプライシングやティアードプライシングという価格戦略を実行しておりますので、そのような状況下においては、強制実施権の発動は必要ないと考えています。

4. TRIPS art31bisの修正

 当社は、医薬品を生産する能力がない国におけるアクセス提供策としてのTRIPS2) art31bis3)の修正は、知的財産権による保護と公衆衛生上の利益保護の要請に合理的なバランスをとりつつ、それらの国に医薬品を提供できるようにしたもの、と理解しています。

5. TRIPS plus4)

 TRIPSの規定の多くは、最低限度を保障するものであり、WTO加盟国がその国の産業政策の一環として、より強い保護を定めることを禁ずるものではありません。各加盟国は、WTOの精神に則り、国民の健康に最も利益をもたらし、医薬品を求めるすべての国民に行き渡るよう、法整備を進めていくべきです。

1)
国連の評価により低開発国“Least Developed Countries”(LDC)および低人間開発国“Low Human Development Country”(LHDC)とされた国々、並びに世界銀行の評価により低所得国“Low-income Country”(LIC)とされた国々は、医薬品市場が未成熟である国々の例です。

2)
TRIPS(知的財産権の貿易的側面に関する協定):知的財産権全般の保護を規定する多国間協定。WTO加盟国(2016年1月現在162カ国・地域)において適用される。

3)
TRIPS art31bis:2005年12月6日開催のTRIPS理事会において決定されたTRIPSの修正案。強制実施権により製造された特定の医薬品につき、一定の条件のもとでTRIPS第31条(f)の履行義務を免除し、輸出を可能とする規定。

4)
TRIPS plus:一般にWTO加盟国が協定において要求される保護よりも広範な保護を行うことを指すといわれている。なお、TRIPS自体は広範な保護を認めている(Art 1)。

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