社外取締役インタビュー

コーポレートガバナンスの実効性を支える7人の社外取締役の声をIR部員が聞き取りました

生年月日(年齢)、在任年数は2019年6月20日現在

    

社外取締役の多様性を活かして経営を監督する

  

加藤 泰彦

  

役職:取締役議長、社外取締役独立委員会委員

生年月日(年齢):1947年5月19日(満72歳)
在任年数:3年
兼務職:株式会社三井E&Sホールディングス 相談役 

   

 当社の取締役に就任して3年が経過しましたが、三井造船株式会社(現 株式会社三井E&Sホールディングス)の代表取締役会長を務めていた2014年秋にエーザイの取締役と知り合いになったことが当社の取締役に就任するきっかけでした。社外取締役への就任依頼があったのは、その1年後です。過去にエーザイとの接点はなく、内藤CEOと挨拶したのは指名委員長(社外取締役)からの就任依頼を承諾した後でした。

  

■ エーザイの企業理念について

 当社の取締役に就任後、素晴らしいと感じたことのひとつが、企業理念が社員に深く浸透し、実践されている点です。私たち社外取締役が研究所・営業拠点・工場を訪問した際、社員一人ひとりが企業理念の実現に向け、自ら何をすべきかを真剣に考えていると感じました。

  

■ 取締役会の議長として心掛けていること
 2018年度より取締役会の議長を務めていますが、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なる7名の社外取締役のそれぞれの強みを活かすように心掛けています。取締役会では、様々な意見が出るように発言を促して議論を尽くしています。また、当社では、社外取締役全員で構成する「社外取締役ミーティング」を設置して、ガバナンスやビジネスに関する事項を幅広くディスカッションしていますが、このような仕組みを使って社外取締役どうしの相互理解を深めることで、さらに自由な意見が出るようにしています。 

 

■ 弛まぬコーポレートガバナンス向上への取り組み
 当社のコーポレートガバナンスの仕組み、運営はとても優れていると思います。特に取締役会開催に先立ち、取締役会事務局より十分な事前説明が個別になされることは、非常に良い点です。これにより、取締役会当日は即座に議論をはじめることができるため、効率的な審議が可能となります。ただし、現状に満足せず、毎年実施しているコーポレートガバナンス 評価で抽出された様々な課題に対して、PDCA(Plan-Do-Check-Action)を回すことで継続的に改善に取組むことが重要と考えます。
 また、大胆かつスピーディーな事業活動の遂行や新しいビジネスモデルの推進をする上で、リスク管理は非常に重要な課題です。取締役会は、執行役の目標達成に向けた職務遂行状況のみならず、担当職務における重要課題やリスクを把握して、しっかりと経営の監督をしなくてはならないと考えています。 

 

■ CEOのサクセッションプラン
 CEOのサクセッションが最も重要な経営課題のひとつであることは、取締役全員の共通の認識です。2017年度に社外取締役ミーティングにおいてサクセッションプランの運用ルールを定め、これに基づき、年2回、CEOから提案されるサクセッションプランの情報共有とその検討を行っています。社外取締役は、取締役会をはじめ様々な場で後継者候補と接する機会がありますので、そのような場を通じて得られた情報等に基づき、サクセッションプランへの助言を行っています。CEOが後継者を育成するプロセスに社外取締役が深く関与することで、取締役会がCEOを選定する公正性が合理的に確保できます。このような仕組みを作り、運営していくことこそが「監督をする」ということであると考えます。

 

(聞き手:IR部 竹井 孝志朗)

攻めのリスクマネジメントを実践する

柿﨑 環

  

役職:監査委員会委員、社外取締役独立委員会委員

生年月日(年齢):1961年1月16日(満58歳)
在任年数:3年

兼務職:明治大学法学部 教授、三菱食品株式会社 社外取締役、日本空港ビルデング株式会社 社外監査役.   

  

  

 当社の社外取締役に就任したのは、内部統制に関する研究会でエーザイの社員の方とご一緒したことがきっかけでした。それまで社外取締役の経験はありませんでしたが、取締役への就任依頼を受け、会社法・内部統制に関する研究が、実務面でお役に立てればと思いお引き受けしました。
 当社の取締役に就任して4年目となりますが、独立社外取締役としての立場を忘れることなく、「社外の視点から業務執行を監督する」ことに努めています。私の所属する監査委員会は、財務・会計、法律、監査、内部統制の分野の専門知識と経験を有する社外取締役と社内経験豊かな社内取締役で構成されています。監査委員の多様な専門性や知識に基づき、監査の枠にとどまらず、問題の是正に向けて一 歩踏み込んだ根本原因に迫る議論を行うように心掛けています。

  

■ 当社のコーポレートガバナンスの特長

 当社の取締役はその過半数が独立社外取締役であり、取締役会は多様なバックグラウンドを有する取締役で構成されています。取締役会での議論の質の高さに加え、取締役間の風通しの良さは当社のガバナンスの特筆すべき特長だと思います。取締役会において各取締役が様々な視点から忌憚なく発言する機会を確保することは極めて重要であり、米国ではこれを法規化する動きもあります。また、取締役会等に関する事前説明や情報提供は、質・量ともに群を抜いており、コーポレートガバナンス充実に向けた熱意を感じます。

  

■ リスクマネジメント型経営の充実にむけて 

 今後は、リスクマネジメント型経営をこれまで以上に充実させたいと考えています。当社がグローバル企業として、不正の芽を事前に摘み取るコンプライアンスと「攻めのリスクマネジメント」を実践するには、執行役のリスクに対する感度を高め、常にそのレベルを向上させていくことが重要です。このために、社外取締役として、執行役のリスク認識を問うだけにとどまらず、リスクに対する打ち手を含めた報告を求めるなど、今後も継続的な改善への取り組みを求めていきます。

 

■ 株主・投資家とのエンゲージメントへの取り組み

 2018年より、当社の社外取締役は、機関投資家の皆様との対話を推進しています。私自身、丁寧かつ十分な説明を行うことで、株主・投資家の皆様から一定の理解が得られたのではないかと手応えを感じています。今後も、引き続き、当社の企業価値向上に向けたコーポレートガバナンスに関する様々なテーマについて、幅広く、株主・投資家の皆様と意見交換し、相互の理解をより深めていきたいと考えています。

  

(聞き手:IR部 坂井 愛子)

株主・投資家と社外取締役の対話のベストプラクティスをめざす

⻆田 大憲

  

役職:社外取締役独立委員会委員長、監査委員会委員
生年月日(年齢):1967年1月29日(満52歳)
在任年数:3年
兼務職: 中村・⻆田・松本法律事務所 パートナー、
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(非上場) 社外取締役

 

  

 私がエーザイの取締役に就任したきっかけは、所属する法律事務所のパートナーが過去に当社の社外取締役だったことが遠因であると推察されますが、それ以上のことはわかりません。就任依頼にお越しいただいた当時の指名委員長は仕事上のつながりで存じ上げていましたが、内藤CEOとお会いしたことはなく、当社関係者との面識もほとんどありませんでした。
 当社の取締役就任後は、法律とりわけ会社法を専門とする立場から、取締役としての善管注意義務を果たすべく、手続きの適正性、つまり「会社の意思決定が様々なステークホルダーに対して胸を張って説明できる適正な手続きやプロセスで行われているか」に最も留意しています。

  

■ 継続的なコーポレートガバナンスの充実

 スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの導入をきっかけに、コーポレートガバナンスに対する世の中の意識が変化し、日本企業におけるガバナンスの質も急激に高まりました。当社もコーポレートガバナンスにおけるトップランナーとして、これまでの取り組みに自信を持つだけでなく、現在の体制や運用を常に見直し、継続的に改善を図ることが重要だと思います。

  

■ サクセッションプランへの取り組み

 CEOの強力なリーダーシップは当社の成長の源泉です。だからこそ、次期CEOの選定は取締役会の最重要課題であり、枢要な意思決定事項のひとつであると思います。社外取締役がCEOから提案されるサクセッションプランに助言をし、CEOがその助言を考慮して、適宜、サクセッションプランに反映する。このように後継者の育成、選定に社外取締役がしっかりと関わっていくことで、CEO選定の公正性が確保できるものと考えます。

 

■ 株主・投資家との対話の重要性  

 昨年から、社外取締役自らが株主・投資家の皆様と直接対話する取り組みに注力しています。7名の社外取締役全員が参加して約50名の株主・投資家等の皆様と対話する場を設けたり、個別に機関投資家を訪問して面談を重ねるなどしてきました。このような株主・投資家の皆様と社外取締役との対話を、コーポレートガバナンスのトップランナーのベストプラクティスとして定着させたいと考えています。
 一部の機関投資家の皆様からは「当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針(本対応方針)」に対する反対意見をいただいていますが、これは「本対応方針」に関する我々の説明が不足していることが一因であると考え、丁寧な説明と対話に努めてまいりました。
 当社の社外取締役は、自らが投資家と対話し、信頼関係を築く必要性を強く認識しています。今後も、「本対応方針」に限定することなく、当社の企業価値向上に向けたコーポレートガバナンスに関する様々なテーマについて、長期にわたる積極的な対話を続けようと思います。

 

(聞き手:IR部 吉澤 恭子)

コーポレートガバナンスの更なるグローバル化を推し進める

ブルース・アロンソン

  

役職: 報酬委員会委員長、指名委員会委員、社外取締役独立委員会委員
生年月日(年齢):1952年5月14日(満67歳)
在任年数:2年
兼務職: ニューヨーク大学ロースクール米国アジア法律研究所 客員研究員、武蔵野大学MIGA(武蔵野大学国際総合研究所) 客員研究員、ロンドン大学SOAS(東洋アフリカ研究学院) 日本研究センター客員研究員

 私は、大学でコーポレートガバナンスの研究を進める過程で、エーザイがコーポレートガバナンスの優良企業であることは認識していました。当社のどなたとも面識はありませんでしたが、以前にエーザイの社外取締役の経験のある大学関係者から勧められたことがきっかけとなり当社の取締役に就任しました。

  

■ グローバルな視点での役員報酬の議論

 社外取締役として3年目となりますが、昨年より報酬委員長を務めています。役員報酬制度の議論にあたっては、グローバルな視点を強く意識しています。米国、欧州、中国、アジア等、国ごとに役員報酬の仕組みや水準には違いがあり、例えば、米国の役員報酬の水準は日本の約10倍のレベルです。グローバルな事業展開を行っている当社において、こういった状況にどのように対応して報酬ガバナンスを構築していくのかが報酬委員会の重要な課題であると認識しています。

 また、執行役の報酬制度には業績連動型報酬(賞与、株式報酬)を組み入れており、総報酬における業績連動報酬比率は40%としています。これについて、機関投資家の一部の皆様からは業績連動比率をもっと高くすべきとのご指摘等もいただいています。今後も様々な視点から役員報酬制度のあり方について検討してまいります。
 法令の改正や社会的な議論の高まりもあり、役員報酬の透明性や内容の開示が求められていますが、当社の報酬委員会は、報酬体系や業績連動型報酬の決定プロセス等、役員報酬に関する開示の提案を、毎年、執行部門に行っています。今後も、報酬決定の公正性と透明性の一層の向上のために開示を充実させ、ステークホルダーの皆様への説明責任を果たしてまいります。

  

■ コーポレートガバナンスのグローバル化
 当社のガバナンスの長所はいくつかありますが、最も良いと私が感じている点は、CEOをはじめ、執行役が社外取締役からの忌憚のない意見や指摘を受け入れるマインドセットを持っていることです。このようなことがあるからこそ、社外取締役はやりがいと責任を持ってその役割・責務を果たすことができるのだと感じます。 
 当社は、グローバルに事業を展開する企業として、コーポレートガバナンスもグローバルな視点で考えることが重要です。規制やビジネス環境の異なる各国で生じうるリスクに対して、細心の注意を払う必要があります。このため、私は、唯一の外国籍の社外取締役として、米国をはじめとする海外の視点や考え方に基づいて意見や指摘を行うようにしています。また、海外の執行役から直接意見を聞く機会をこれまで以上に増やすようにしています。 

 

■ 企業の社会的責任の視点

 研修会や事業所訪問などの機会に社員の方々と接して実感するのは、hhcという企業理念が社員に深く浸透していて、モチベーションの高い社員が非常に多いということです。近年は働き方改革や女性の活躍推進なども広く求められています。取締役会では、従業員の働きがいと企業の生産性の向上を目指した働き方の改善やダイバーシティーへの取り組みについてもしっかりと議論を行っていきます。
取締役会の経営の監督には多面的な視点が必要であり、社会的責任を持つグローバル企業として、ESGやSDGsへの取り組みをはじめとして、このような課題にもしっかり向き合ってまいります。

  

(聞き手:IR部 竹井 孝志朗)

取締役会の最適構成をめざして

海堀 周造

  

役職: 指名委員会委員長、報酬委員会委員、
社外取締役独立委員会委員
生年月日(年齢):1948年1月31日(満71歳)
在任年数:1年
兼務職: 横河電機株式会社 アドバイザー、HOYA株式会社 社外取締役

 

  

 横河電機の取締役会議長をしていた当時、知人から紹介をいただき、エーザイの社外取締役に就任いたしました。
 現在、当社以外の企業でも社外取締役を務めていますが、政治で言うなら野党の立場で発言することを意識しています。また、企業経営者であった経験から、リスクにつながる芽はどんなに小さなものでも指摘して、経営の執行を監督するように心がけております。

  

■ 取締役会の最適構成を考える

 現在、指名委員長を務めておりますが、私は、取締役会の監督機能は、経験やバックグラウンドの異なる社外取締役が忌憚なく議論することで、その広さと厚みの双方が増すと考えています。様々な知見が表出する場で多くの事項が検討されること自体に大きな価値があると考えています。
 指名委員会は、取締役会に対して取締役会の最適構成を提案する重責を担っています。今年度は、「社外取締役の適正な任期」と「取締役会の多様性」を2つの重要な検討テーマと捉えています。「社外取締役の任期が短すぎないか」との投資家の皆様のご意見等も踏まえ本質的な討議を行ってまいります。また、取締役会は、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なる多様な人材で構成されることが重要ですが、それだけでは不十分です。グローバルな事業活動には様々なリスクが伴います。従って、取締役には多様性だけでなく、このようなリスクを様々な角度から見極めることが出来る資質や能力が求められると考えています。

  

■ CEOのサクセッションプラン 

 CEOの選定は指名委員会ではなく取締役会の決議事項です。このため、CEOのサクセッションプランは取締役全員でその情報を共有することとしています。具体的には、CEOから、複数の候補者について、現在の評価や状況が提案、説明されます。今後は、後継者の育成や評価に関する議論だけでなく、承継をスムーズに行うための執行部門や取締役会における体制等についても議論をしなくてはならないと思います。

 

■ リスクテイクと投資のバランスの重要性

 製薬企業は高額の研究開発投資を行う創薬の成否のリスクに加え、他業種に比べて規制が多いため、それに伴うリスクも多く存在します。製品品質や情報管理、データインテグリティの重要性が極めて高く、事業活動においては、細心の注意が必要です。
 私が医療システムビジネスの分社化に向けた検討をしていた時に、医療分野におけるデータや情報の取り扱いに関する規制の厳しさを痛感した経験があります。また、現在、エーザイが取り組んでいる認知症領域での新事業では、保険会社や地方自治体と協業しながらデータビジネスにおける新たな知見を得るための投資も必要となります。これまで以上にリスクと投資のバランスに留意した経営が求められることになると考えています。

 

(聞き手:IR部 吉澤 恭子)

企業の礎は社員

村田 隆隆一

  

役職: 指名委員会委員、報酬委員会委員、 社外取締役独立委員会委員
生年月日(年齢):1948年4月12日(満71歳)
在任年数:1年
兼務職: 三菱UFJリース株式会社 特別顧問、株式会社ノリタケカンパニーリミテド 社外監査役、近鉄グループホールディングス株式会社 社外取締役

  

  

 私がエーザイの社外取締役への就任依頼を受けたのは、当社が取締役会の多様性を検討している中、金融機関出身の経営経験者として、当社の「社外取締役の独立性・中立性の要件」を満たしていたことがその理由だったのではないかと思います。三菱UFJ銀行の役員を退任し9年が経過、三菱UFJリースの相談役となった後に当社取締役に就任しました。

  

■ 社外取締役の役割について

 取締役会は、当社が世界情勢や時代の変化に対応した戦略を策定し、実践できているかを常に検証しなくてはなりません。重要事項が長期的な視点で、適切な手続きを経て意思決定され、執行されているかを監督する責任を有しています。 

 昨年度は、リスク管理について、会社が直面しうるあらゆるリスクを、発生可能性とインパクトの二軸でマッピングし、取締役会で定期的にモニタリングすることを提案したところ、直ちに報告して頂きました。リスクとそれが惹起した場合の影響度を常に把握しておく。取締役としての大事な務めの一つです。
 また、医薬品業界は変化や競争が激しく、事業提携、企業買収等あらゆる選択肢を考慮しておく必要があります。そのための適正な資本構成や財務戦略についても十分に留意しておくことが求められます。

  

■ 社員の心を思う

 私は渋沢栄一翁の座右の銘と言われる「夢七訓」に共鳴しています。「夢なき者は理想なし」に始まり、「幸福を求むる者は夢なかるべからず」と結ばれるものです。企業として、増収増益、配当、ROE等の重要性は言うまでもありませんが、社員全員が夢を持つことこそが理想であると思っております。研究所や事業所への訪問、研修会等で社員の皆様と接する機会がありますが、その度に当社の企業理念の社員への浸透の深さに感心します。今後も社員との接点を増やし、中期経営計画「EWAY 2025」の実現に向けて共に夢を抱けるように努めてまいります。企業の礎は社員です。今後どんな事態が起ころうと、社員が迷うことなく夢を持って働ける会社をめざしてまいります。
 銀行の支店長として事業や人員の円滑な運営に腐心していた頃、伝教大師最澄の「一隅を照らす。これ則ち国宝なり(照于一隅此則国宝)」の語に出逢いました。影日向無く努力を続ける一人ひとりが国の宝であるように、会社の宝は社員です。今後も常にあらゆる場面で社員の心を思うことを忘れずに務めてまいりたいと思っております。

   

(聞き手:IR部 吉澤 恭子)

小さな兆候の中に潜む大きなリスクを見逃さない

内山 英世

  

役職:監査委員会委員長、社外取締役独立委員会委員
生年月日(年齢):1953年3月30日(満66歳)
在任年数:1年
兼務職: 朝日税理士法人 顧問、オムロン株式会社 社外監査役、
SOMPOホールディングス株式会社 社外監査役

  

  

 日本公認会計士協会等を通じてよく存じ上げていた方がエーザイの社外取締役の経験をお持ちで、そのようなご縁から、当社の社外取締役に就任しました。就任依頼の打診をいただくまで、エーザイとの接点は全くありませんでした。

  

■ 監査委員長として心掛けていること

 エーザイのステークホルダーは、株主・投資家の皆様、患者様を始めとする社会全体です。このため、私の専門分野である会計や経営の視点だけではなく、様々なステークホルダーの代表としての見地から、業務執行を監督するように心掛けています。監査においては、小さな兆候の中に潜む大きなリスクを見逃さないことが重要です。当社の仕組みが現在の社会に適合しているか、内部監査の結果が適正であるかについて、虚心坦懐に話し合い、監査委員長として改善すべき点を指摘しています。例えば、働き方改革の重要性には議論の余地がありませんが、社員一人ひとりが力を発揮できる最適な施策・方法を検討する必要があると思いますし、製薬企業の最大のテーマである研究開発において成果を得るためには、当該部門において、よりきめ細やかな労働環境を実現するための投資が必要かもしれません。

  

■ コーポレートガバナンスに磨きをかける

 エーザイのガバナンスの要諦の一つは、社外取締役が取締役会の議長を務めていることであると考えます。結論ありきの議論ではなく、取締役それぞれの専門性や知識・経験、ガバナンス観に基づき、様々な視点から意見が述べられ、十分な議論を経て適切な判断がなされているとの実感があります。また、社外取締役のみで構成される社外取締役ミーティングがあることも、特長の一つです。社外取締役ミーティングは年に7~8回開催されますが、事業活動やビジネス環境、リスクに関するテーマについて執行役と情報共有を行ったり、コーポレートガバナンスに関する深い議論がなされます。社外取締役相互のコミュニケーションを取りやすい環境が整備されており、チームエーザイとでもいうべき連帯感や使命感が生まれています。 

 ただし、あらゆる物事には、マンネリ化、形骸化、劣化が起こりうることを忘れてはなりません。社外取締役ミーティングでは取締役会の実効性について年に1回その評価を行っています。こうした評価も、本来は取締役会が開催される都度実施して、課題があれば直ちにPDCAサイクルを回し、これを継続していくことが望ましいと考えています。

 

■ 社外取締役として注力したい活動

 昨年、患者様とともに時間を過ごす「共同化プログラム」に参加しました。当社の企業理念の実践を体感できる大変有意義な機会でした。今後もこのようなプログラムに積極的に参加して、患者様の視点を大事にしていきたいと思います。
 2018年11月、公認会計士社外役員ネットワーク幹事として、「企業価値向上に資する独立社外役員の役割」と題したパネルディスカッションのモデレーターを務め、そこでエーザイの事例を紹介したことがあります。エーザイのガバナンスはその仕組み、運用において、とてもよくできているという評価をいただきました。エーザイの社外取締役として、当社のガバナンスへの取組みを世の中に広く知っていただき、日本企業全体のガバナンス向上に役立ちたいという思いもあります。これからも機会があれば、フロントランナーの取組みを積極的に紹介していきたいと考えます。

 

(聞き手:IR部 竹井 孝志朗)