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ニュースリリース

2017年4月5日

抗がん剤「レンバチニブ」と抗PD-1抗体の併用におけるがん免疫応答に関わる作用機序解析データを第108回米国がん研究会議で発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、第108回米国がん研究会議(American Association for Cancer Research: AACR)において、自社創製の抗がん剤レンバチニブ メシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ)と抗マウスPD-1抗体併用投与時の、マウスモデルにおける抗腫瘍活性増強作用に繋がる作用機序についての最新研究データを発表しましたのでお知らせします。

 今回、AACRで発表した研究成果1においては、マウス由来の肝がん、メラノーマまたは大腸がん細胞株を移植したマウス同種移植モデルに対し、レンバチニブ(10mg/kg、1日1回)と抗マウスPD-1抗体(500μg/マウス、1週間2回)を併用投与したところ、レンバチニブ単剤群、抗マウスPD-1抗体単剤群と比べて、併用投与群において顕著ながん増殖抑制作用が観察されました。
 また併用投与時において、単剤投与時と比較し、腫瘍の完全な退縮効果(Complete Response、以下 CR)のある個体数の増加が認められました。具体的には、併用投与群では、CRが30例中7例(大腸がんモデル2例、メラノーマモデル2例、肝がんモデル3例、各々10例中)、各単剤投与群においては、いずれもCRが30例中1例(大腸がんモデル1例、メラノーマモデル0例、肝がんモデル0例、各々10例中)でした。

 さらに、肝臓がんモデルにおいて、完全な腫瘍退縮効果が認められたマウスに同じがん細胞を再移植しても、生体内でのがんの増殖は認められませんでした。

 レンバチニブ投与群におけるがん組織のRNAレベルでの解析等により、免疫抑制性の腫瘍関連マクロファージの減少、免疫抑制シグナル受容体の減少、およびメモリーT細胞の割合増加が確認されました。

 本非臨床研究結果から、マウスモデルにおけるレンバチニブと抗マウスPD-1抗体併用投与時の相乗的な抗腫瘍活性には、レンバチニブによる腫瘍関連マクロファージの減少に基づくがん免疫賦活化、およびメモリーT細胞の増強が関与していることが示唆されました。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、レンバチニブのさらなるエビデンスの創出に注力し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  レンバチニブ メシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ、商品名:レンビマ®/Kisplyx®)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、韓国、メキシコ、ブラジルなど50カ国以上で承認を取得し、加えて、南アフリカ、インドネシアなどで申請中です。米国では「局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、日本では「根治切除不能な甲状腺癌」の適応で、欧州では「成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は転移性の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)」の適応で承認を取得しています。
 レンバチニブは、2016年5月に、米国で「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応拡大について承認を取得しました。また、2016年8月に、欧州において「血管内皮増殖因子を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応について承認を取得しました。欧州での本適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。
 またレンバチニブは、2017年1月に「全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん」を対象とした臨床第III相試験において主要評価項目を達成しました。
 さらに本剤については、腎細胞がん(一次治療)を対象とした、エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの2つの併用療法に関して、臨床第III相試験を開始し、進行中です。また、ペムブロリズマブとの併用による固形がん(子宮内膜がん、腎細胞がん、頭頸部がん、尿路上皮がん等)を対象とした臨床第Ib/II相試験が進行中です。

2.  メモリーT細胞について

 がん細胞や感染細胞などの抗原によって活性化されたCTL細胞(細胞障害性T細胞)は、エフェクターT細胞となり、抗原を攻撃・除去したのちに、その大部分は死滅しますが、一部はメモリーT細胞となり、がん細胞や感染菌などに対して攻撃性を記憶したまま体内に残ります。メモリーT細胞は、次に同じがん細胞や感染菌が出現したときに、再び効率よくエフェクターT細胞に活性化し攻撃することができます。

1 Kato Y, et al. Upregulation of memory T cell population and enhancement of Th1 response by lenvatinib potentiate anti-tumor activity of PD-1 signaling blockade : Lenvatineb and PD-1 mAb combination. AACR Meeting Abstract, 2017; #4614