ここから本文です

ニュースリリース

2017年9月29日

「レンビマ®」(レンバチニブ)の全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんを対象とした臨床第III相試験結果を第20回中国臨床腫瘍学会年次総会にて口頭発表
―グレーターチャイナ(中国、香港、台湾)の患者様を対象とした部分集団解析結果―

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗がん剤レンバチニブメシル酸塩(一般名、製品名:「レンビマ®」「Kisplyx®」、以下 レンバチニブ)に関する全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照薬とした臨床第III相試験(REFLECT/304試験)について1、世界の肝細胞がん患者様の過半を占めるグレーターチャイナ(中国、香港、台湾)における患者様の部分集団解析結果を、中国福建省厦門(アモイ)市で開催されている第20回中国臨床腫瘍学会年次総会にて初めて口頭発表しましたのでお知らせします。

 本部分集団解析において、レンバチニブはソラフェニブに比較して全生存期間(OS)を延長し(名目P = 0.026)、レンバチニブの高い有効性が示され、さらに、無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、および奏効率(ORR)について改善を示しました(下表)。また、本部分集団の約80%を占める、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)由来の肝細胞がん患者様を対象としたOSの中央値は、レンバチニブ群(123人)で14.9カ月、ソラフェニブ群(119人)で9.9カ月(HR 0.72、95%CI = 0.53-0.97)と、本部分集団と同様、レンバチニブの高い有効性が示されました。
 これらの解析結果において、レンバチニブは、従来の薬物療法において治療効果の低減が示唆されているHBV由来の肝細胞がん患者様に対しても優れた効果を示したことから、HBV由来の肝細胞がん患者様が多いとされるグレーターチャイナにおける肝細胞がんに対する新たな治療オプションとなることが期待されます。

評価項目全体集団グレーターチャイナにおける部分集団
レンバチニブ群
(n = 478)
ソラフェニブ群
(n = 476)
レンバチニブ群
(n = 144)
ソラフェニブ群
(n = 144)
OS中央値,(月)
HR(95% CI)
13.6 12.3 15.0 10.2
0.92(0.79–1.06) 0.73(0.55–0.96)
PFS中央値,(月)
HR(95% CI)
7.4 3.7 9.2 3.6
0.66(0.57–0.77) 0.55(0.42–0.72)
TTP中央値,(月)
HR(95% CI)
8.9 3.7 11.0 3.7
0.63(0.53–0.73) 0.53(0.40–0.71)
ORR,(%)
OR(95% CI)
24.1 9.2 21.5 8.3
3.13(2.15–4.56) 3.17(1.54–6.53)

* CI : 信頼区間(Confidence Interval), HR : ハザード比(Hazard Ratio), OR : オッズ比(Odds Ratio)

 なお、グレーターチャイナ部分集団解析における安全性プロファイルについては、これまでにレンバ チニブの投与で認められたものと同様でした。

 肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約75万人が肝がんのために亡くなっています。また、年間新規患者数約78万人のうち、約80%がアジア地域に集中しています。特に中国においては、年間新規患者数約39万5千人、年間死亡者数約38万人と、全世界の約50%を占めています2
 肝細胞がんは、肝がん全体の約85~90%を占めており、切除不能な肝細胞がんは、治療方法が限られており、予後が極めて悪く、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患です。

 当社は、レンバチニブの肝細胞がんに係る適応について、2017年6月に日本において、同年7月に米国と欧州において承認申請を行い、中国においては2017年度下期に承認申請を行う予定です。当社は、引き続きレンバチニブを患者様価値増大に結びつけるべくエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上


<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ、商品名:「レンビマ」「Kisplyx」)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州などでは、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での本適応については「Kisplyx」の製品名で発売しています。
 さらに本剤については、腎細胞がん(一次治療)を対象とした、エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの2つの併用療法に関して、臨床第III相試験を開始し、進行中です。また、ペムブロリズマブとの併用による固形がん(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)を対象とした臨床第Ib/II相試験が進行中です。また肝細胞がんを対象とした臨床第Ib相試験が進行中です。

2.  REFLECT試験におけるグレーターチャイナの部分集団解析について

 今回発表されたグレーターチャイナを対象とした部分集団解析は、REFLECT試験における肝細胞がんの患者様954人のうち、288人(中国213人、香港21人、台湾54人)を対象としました。本部分集団解析において、OS(中央値)は、レンバチニブ群で15.0カ月、ソラフェニブ群で10.2カ月(ハザード比0.73(95%CI = 0.55-0.96)、名目P = 0.026)でした。PFS(中央値)は、レンバチニブ群で9.2カ月、ソラフェニブ群で3.6カ月(ハザード比0.55(95%CI = 0.42-0.72)、名目P = 0.00001)、またTTP(中央値)は、レンバチニブ群で11.0カ月、ソラフェニブ群で3.7カ月(ハザード比0.53(95%CI = 0.40-0.71)、名目P = 0.00001)でした。ORRは、レンバチニブ群で21.5%、ソラフェニブ群で8.3%(オッズ比3.17(95%CI = 1.54-6.53)、名目P = 0.0014)でした。
 また、本部分集団288人のうち、約8割にあたる231人がHBVに由来する肝細がんの患者様であり、これらHBV由来の肝細胞がん患者様を対象とした解析において、OS(中央値)は、レンバチニブ群(123人)で14.9カ月、ソラフェニブ群(119人)で9.9カ月(ハザード比 0.72、95%CI = 0.53-0.97)、PFS(中央値)は、レンバチニブ群で9.2カ月、ソラフェニブ群で3.5カ月(ハザード比0.52、95%CI = 0.38-0.70)でした。
 なお、グレーターチャイナ部分集団解析における安全性プロファイルについては、これまでにレンバチニブの投与で認められたものと同様でした。

1 Cheng Aら、“全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照としたレンバチニブの臨床第III相試験”、第53回米国臨床腫瘍学会年次総会 (2017年6月)、抄録番号4001
2 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012.http://globocan.iarc.fr/