コンプライアンス・リスク管理

エーザイでは、チーフコンプライアンスオフィサー兼内部統制担当執行役がコンプライアンス・リスク管理推進部を管轄し、コンプライアンスとリスク管理を推進しています。コンプライアンスを「法令と倫理の遵守」と定義して経営の根幹に据え、トップ・マネジメントによるメッセージ発信、行動規範やルールの整備、啓発活動、研修体制や相談・連絡窓口の整備等からなるコンプライアンス・プログラムを推進しています。

リスク管理については、リスクを「企業や組織の目的の達成を阻害する脅威または可能性のある事象」と定義し、リスクを許容範囲に管理するため、内部統制の構築・整備、運用および内部監査等を実践しています。

コンプライアンスの推進

コンプライアンス・リスク管理推進部は、各リージョンのコンプライアンス推進担当部署および推進担当者と連携し、グローバルにコンプライアンス推進活動を行っています。

このコンプライアンス推進活動は、国内外の弁護士やコンサルタント等社外専門家で組織されたコンプライアンス委員会による客観的なレビューを定期的に受けています。また、コンプライアンス委員会はチーフコンプライアンスオフィサーに対して助言および勧告を行っています。

1.行動規範やルールの整備およびコンプライアンス意識の醸成のための啓発活動

エーザイでは、役員および従業員一人ひとりが、常にコンプライアンスに則った企業活動を行っていくことを確たるものとする上で、すべての役員および従業員へのコンプライアンス意識の醸成が不可欠であると考えています。

エーザイネットワーク企業(ENW)行動憲章と行動指針をとりまとめた「コンプライアンス・ハンドブック」を2016年度に改定し、17カ国語で発行し、グループすべての役員および従業員へ配付しました。今回は、英国現代奴隷法の施行を踏まえ、人権に関する事項を見直すなど、社会の要請を踏まえた改定を行いました。

また、国内のENWでは、コンプライアンスに関する相談・連絡窓口の連絡先等を記載した携帯用「コンプライアンス・カード」を作成し、すべての役員および従業員で共有しています。

コンプライアンス役員研修会をはじめとする研修会の開催、e-ラーニング、ケーススタディの配信など、様々な媒体を駆使した教育研修を継続して実施し、コンプライアンス意識の醸成に取り組んでいます。

Compliance Handbook

2.コンプライアンス・カウンターの活用

コンプライアンス・カウンターはENWにおける内部通報制度としての相談・連絡窓口で、ENW各社に設置されています。

法律の解釈や、自分自身や上司、同僚の行動がコンプライアンスに則っているか疑問を感じた場合など、すべての役員および従業員の身近な相談・連絡窓口として運用されています。ハラスメント、個人情報保護、著作権、公務員倫理規程、業界の自主規制など様々な分野の相談・連絡に活用されています。

また日本では、社外弁護士による通報窓口や社外相談員が運営する相談・連絡窓口も設置し、コンプライアンスをさらに推進するための環境を整備しています。

3.コンプライアンス意識調査

コンプライアンス意識調査は、ENWの社員一人ひとりのコンプライアンスに関する意識や活動状況をモニタリングするとともに、コンプライアンス・プログラムのさらなる充実に活用するために定期的に実施しています。2015年度に実施したコンプライアンス意識調査の結果を踏まえ、2016年度は、コンプライアンス・カウンターがより安心して活用されるように信頼性向上に向けた取り組みに注力しました。

4.贈収賄・汚職の防止

エーザイは、誠実なビジネス活動を行うことに対する強い想いに基づき、2012年1月に「ENW贈収賄・汚職の防止に関するポリシー」を定めました。これは、社外関係者と対応する際のENW共通のルールであり、すべてのENWにおいて贈収賄・汚職のないビジネス活動を推進しています。

具体的な取り組みの一つに、新規に取引を予定している企業を対象として、Webシステムを活用して事前にグローバル共通の贈収賄・汚職の可能性に関する質問書への回答を得るABAC デューディリジェンスシステムを導入しており、新規取引に伴うリスクの低減に一定の成果を得ています。本システムは、リスクアプローチの考えのもと、メキシコ、ブラジル、カナダを含むアメリカ地域、ロシアや東欧を含む欧州地域に、中国、インドをはじめとするアジア地域に展開、稼働させております。

また、会計・財務データをモニタリングすることで、不正の兆候を発見するシステムを海外のENWにおいて導入することに取り組んでいます。

5.コンプライアンスに則ったプロモーション

エーザイは、グローバルにコンプライアンスに則ったプロモーション活動を行っています。また、企業活動が高い倫理性のもとに行われていることを広く社会にご理解いただくため、日本製薬工業協会(製薬協)や各国で定める法令・ガイドラインに則り、医療機関等および患者団体に対する支払いを公開しています。

リスク管理の推進

エーザイでは、会社法に基づき、取締役会が「執行役の職務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備に関する規則」を制定し、すべての執行役が担当職務のリスクを識別し、内部統制を構築・整備、運用することを定めています。これを受け、内部統制担当執行役が「ENW内部統制ポリシー」を定め、ENW全体で内部統制の構築・整備、運用を推進し、リスクを許容範囲に管理すべく取り組んでいます。

1.リスク管理体制とリスク対応の推進

CSA(統制自己評価)を通じて執行役と組織長が識別したすべてのリスクの中で、重要なリスクについてはリスクマネジメント委員会が一元管理しています。

さらに、社外の企業不祥事等を常時監視することで自社の潜在的なリスクを早期に感知し、リスクの顕在化を防止する活動も実施しており、迅速なリスク対応を行っています。

識別したリスクは、固有リスクの大きさ(リスクのインパクトと発生可能性)と内部統制のレベル(構築・整備、運用状況)によって重要度を評価し、リスク対応の優先度を定めて効率的にリスク管理に取り組んでいます。

[執行役][リスクマネジメント担当部署][各部門、組織]内部統制の構築・整備、運用の実行、社内・社外リスク情報を提供[コンプライアンスリスク管理推進部(リスクマネジメント委員会事務局)]内部統制の構築・整備、運用の支援(CSA推進)[コーポレートIA部]内部監査の実施[リスクマネジメント委員会(委員長:内部統制担当執行役)]リスク情報の一元管理、執行役への提案・支援[内部統制担当執行役]取締役会への報告[取締役会]・執行役の職務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備に関する規則の制定 ・執行役による内部統制の構築・整備、運用状況の監督(※CSA:統制自己評価)
エーザイのリスク管理体制

2.CSA(Control Self-Assessment:統制自己評価)

エーザイではリスク管理のツールの一つとして、CSAを実施しています。CSAは、毎年、ENWのすべての組織長が自組織で抱えるリスクについて評価・識別を行い、識別されたリスクに対しては、ワークショップ等を通じてリスクへの対応を進めています。また、執行役に対しては、インタビューならびに報告書の提出を受け全社的な重要リスクを把握するとともに、執行役によるリスク対応の実施状況のフォローを行うことでリスク管理の実効性を高めています。

3.国際基準に基づいた内部監査活動

内部監査は、監査委員会の監査や会計監査とは異なる任意の監査です。エーザイは、内部統制担当執行役のもとに設置したコーポレートIA部が、日本、米国、欧州、中国、アジアにある各リージョンの内部監査部門と協力しながら、グローバルに内部監査を実施しています。この内部監査では、各執行役の業務執行が適正かつ効率的に実施されていることを、独立的かつ客観的に評価し、その結果を執行役会および監査委員会へ報告しています。

なお、内部監査部門はグローバルスタンダードに対応した高品質な監査を確保するため、毎年、社外有識者で構成された外部評価委員会により、IIA(The Institute of Internal Auditors:米国に本部を置く内部監査人協会)の国際基準に沿った評価を受けています。

サステナビリティ